事業実施年度 | H31(2019) |
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担当窓口 |
代表事業者:三菱UFJリース株式会社 営業開発部 共同事業者:富士市 市民部文化振興課 、環境部環境総務課 |
事業名 | 富士市文化会館ESCO事業(H31) |
事業概要 |
竣工後26年を経過する事業実施場所の主要エネルギー消費設備の更新を民間事業者の技術・資金を活用したESCO事業として実施し、省エネ・省CO2を推進する。導入する技術は「高効率機器への更新(熱源機・ボイラ・給湯器・パッケージエアコン・LED照明・変圧器)、「制御の最適化(インバータ・CO2制御)」の組み合わせにより高効率機器を最適に運転する他、中央監視装置もエネルギー管理機能を強化し、その結果を基に富士市・ESCO事業者による定期的な改善策検討を行い、運用の改善・設定パラメータの変更等、継続的なCO2削減を見込む。共同事業者である富士市では本事業を「富士市地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)」に記載したCO2削減目標を達成するための重要な取組の一つである「ESCO事業の活用」と位置づけており、富士市立中央病院ESCO事業(平成28年実施)、富士市立小中学校空調設備ESCO事業(平成31年実施予定)等と併せて市有施設の省CO2削減への貢献度の非常に大きい事業と位置付け、今回実施するものである。
設備導入施設:富士市文化会館
年間CO2削減効果(見込み): 424.5t-CO2(内、運用改善1.0t-CO2) 総事業費:1,533百万円 補助金額:185百万円 完成年月:令和2年2月 (事業期間 令和元年9月~令和2年2月) |
事業の先進性・モデル性 | 当該事業では舞台関係設備を除くほぼ全ての設備を同時に更新することで設備単体では無く、熱源の容量選定と空調機・ポンプの最適制御・個別空調への一部分離等を1システムとして設計する等、建物全体として効率的なCO2削減が可能となる事業である。設備改修の計画は既存のエネルギーデータ計測値(中央監視装置にデータ蓄積)に基づき実施しており、当該施設の特性に基づいた設備のダウンサイジング、最適制御運転制御等を盛り込んだ効率的な改修が可能となった。 エネルギー消費設備面の特徴以外では「短期間で40%近いCO2削減効果の実現事例」として他施設の改修手法として一つの方向性を示すことが可能となる事業である。また、今回の事業内容には「AHUのCO2制御」「可変インバータ制御」等の大規模改修でなくとも、従来設備へ付加することで費用対効果の大きいCO2低減を見込める項目も含まれており、他の施設への展開事例ともなりうるものであると考えられる。 |
カーボン・マネジメント体制の整備計画に基づく実施状況 | |
市長をトップとし、条例に基づく富士市環境政策推進委員会を全体の管理部門を担う組織とし、その下部にエコ実行会議を置いている。実行部門としては、各部ごとにエコ実行統括者を配置することで全職員への指示命令系統を構築し、PDCAサイクルで運用している。 |
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カーボン・マネジメントに係るノウハウの普及方針に基づく普及実績 | |
富士市が、毎年開催している富士市環境エネルギー講演会(参加者の半数以上が市外)において成果を公表することに併せ、県内自治体が集まる環境都市研究会や建築部門が集まる会合等で取り組みを積極的に発表する。 |
H31年度
設備導入施設 | |
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施設名 | 富士市文化会館【文化関係】 |
施設写真 |
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主な導入設備等 |
AHU最適制御【空調】 夏季・冬季の外気負荷が空調負荷に与える影響が大きい為、室内の環境(CO2濃度)を測定し、必要以上に外気を取り込まない様、外気取込み量を制御する。当該施設の外気負荷は空調負荷の20%強となっているが、制御の導入によりその50%以上を削減する。また併せて室内温度に応じてファン風量をインバータで可変させることで約40%のファン動力を低減させる。当施設は大・中・小の3つのホールを保有する施設であり、イベント内容等により入場者数・室内発熱量の変動が大きい特徴があることから当該システムの効果が大きいと判断し導入することとした。導入手法が既存設備への制御装置の追加のみであることから費用対効果が非常に良化したものとなっており、改修に要する期間も短いことから、他施設への展開も見込みやすい方策となっている。 高効率空調【空調】 集中熱源系統と異なる空調利用を行う箇所はパッケージエアコンを設置しているが、竣工時(26年前)の設備であるため、近年の高効率機器に対し性能面で見劣りする。今回それらの従来型パッケージエアコンを最新式の設備に更新することで当該設備の電力量を約30%低減する。また、併せて集中空調系統に付随する一部系統(現在はAHU・FCUで空調)を個別空調化する。この一部個別空調化と前述したAHU最適制御は後述する熱源設備更新時のダウンサイジングに寄与し、集中空調系統の運用効率化にも貢献する。 熱源設備更新工事【熱源】 既存の熱源設備およびポンプ他の付随設備を更新する。設備容量は既存中央監視装置の熱量データおよび項目1及び項目2の実施により既存設備の約60%(808kW×3台=2,426kW→1,407kW×1台 冷房時)の容量とする。熱源設備の効率が35%程度向上(冷房時)する他、熱源のダウンサイジングに併せて関連するポンプ類の効率化対策として「節電型機器の採用(冷却水を大温度差(39.8℃→32℃)で使用し、冷却水流量を従来機の約65%としたポンプ能力を低減する機器)」「冷温水1次ポンプ・冷温水2次ポンプ・冷却水ポンプへのインバータ設置」を行う。これによりポンプ動力も40%程度の削減となる。なお、更新後の熱源の必要容量は1,407kW(冷房時)であるが、当施設は有料貸出施設という特性上、予備機1台(1,407kW)を補助対象外で設置し、常用1台・予備1台として運用する予定である。 照明設備更新工事【照明】 既存の蛍光灯・ダウンライト・防災照明をLED照明に更新することによる効率化は明白であったものの、デザイン性を重視する文化施設では予算に応じた部分ごとの改修に躊躇することもあり導入が遅れていた。今般、ESCO事業として改修を実施することで予算制約を緩和し、当該施設への一括導入が可能となった。なお、改修による消費電力量の削減効果は既存設備比で60%超となる。 受変電設備更新工事【その他】 今回のESCO事業による大規模改修を経て、今後30年以上当該施設を使用する計画であることから、受変電設備を更新する。無負荷損の低減および他の電力使用量を低減させる方策の効果による負荷損の低減を図る。 |